冬場のうどんこ病対策

いちごハウス栽培で、冬場のこの時期にうどんこ病にかかってしまったらどう対処していくべきか、についてお話しします。

【うどんこ病の原因】
まずは、いちごのうどんこ病の原因について考えてみましょう。
1.植物体内に余分な窒素分が多い

2.窒素分が偏って多くなると茎がひょろひょろになり葉が柔らかくぶよぶよになります。人間でいえばメタボの状態です。いちごの株もメタボ状態になるとうどんこ病だけでなく色々な病気にかかりやすくなります
たとえ窒素が多く吸収されていてもリン酸とカリもバランス良く体内にあれば問題はありません。しかし、前回書いた通り、リン酸分は根の一部からしか吸収されないため、リン酸吸収率が上がっていないと、どうしても体内のリン酸分は少なくなってしまいます。

【うどんこ病の特徴】
うどんこ病の菌は30度以上の夏場の高温が続くと発芽がほとんど止まります。つまり菌が増殖したり飛んだりすることがほとんどなくなります。
12〜13度くらいの温度条件になってくるとうどんこの菌の発芽(発生)が始まります。


【うどんこ病の対処方法】
この時期(厳寒期)に、ハウスの中でうどんこ病になってしまった場合

1.まずはうどんこ病を消毒してください。
うどんこ病の原因菌の胞子は、水にとても弱いので水をたっぷりかけて、その時に薬を含ませると効果があります。

消毒と言うと、え?結局農薬を使わなきゃいけないならコストがかかってしょうがないじゃないか!!とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、うどんこ病は早めの対処が肝心です。放っておいて広がってしまうと葉全体から果実にまで蔓延してしまいます。それに、周りの株もメタボな株なら、放っておくと、なおさら次々に広がっていってします。
まずは広がる前に早めに消毒しましょう。

本当は最初からうどんこ病にかかりにくい丈夫な株にしておくのが一番なのですがそれにはリン酸吸収率を高めることが効果的です。微生物を利用したリン酸吸収率を高める方法については、前回ご紹介しました。

2.次に、それ以上広がらないように株を強くしてください
いくら消毒をしてもいちごの株自体がメタボで弱々しければ完全に病原菌を滅菌しない限り、またすぐにうどんこ病は広がります。そのために、丈夫な株を作りましょう

 

そこで、株を強くする方法をご紹介します。

【いちごの株を強くする方法】
1.いちごは高温多湿を好むので、午前中は暖かい気温と湿度を保ってください
その時間帯に、温度と湿度を保つことで同化作用がよく進み、いちご体内に栄養が作られやすくなります
2.午後はしっかりと換気をして、湿度を抜いて空気を入れ替えてください。
午前と午後のメリハリをつけることで、いちごが体内にしっかりと栄養を蓄えられるようになります
3.上のような状態が出来てきたら、リン酸を追肥もしくは葉面散布をして体内の栄養濃度を高めていってください。そうすることで、うどんこ病に感染しにくい株を作っていくことができます
(ここで紹介している方法は一般的なものです。より効果的な方法をお知りになりたい方は別途お問い合わせください)

 

【注意事項】
うどんこ病にかかった株換気をしても良くなりません!
それどころか、午前中換気をして寒い空気を入れて湿度を抜いてしまうといちごの生育が止まってしまいます
厳寒期のこの時期は、午前中は絶対に換気などでハウス内の湿度を抜かないでください!
そのような状態をしばらく続けていると樹がつぶれていきます
特にとちおとめでは、一度樹がつぶれてしまうと、元に戻すのがなかなか難しいので気をつけて下さい。

反対に、午後は換気をして湿気を抜いてください
午前中は湿度が高い方がいいのですが、逆に、昼以降湿度が高いと病原菌を拾いやすくなるので注意してください

 

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