高設栽培で高品質多収量を目指すには1


今回は高設栽培で高品質のいちごをたくさん収穫するために重要なことをお話いたします。
高設栽培を導入したい! 高品質のいちごをたくさん収穫したい! と考えている方の参考になれば幸いです。

本記事では、すでにいちごの高設栽培をやられている方も、これから始めようと考えている方にも読んでいただけるよう、まずは高設栽培がどのようなものかという話から始め、高設ベンチの栽培方式や培地の違いによるメリットデメリットについてについて解説しながら、弊社の高設栽培設備である高橋式高床ベンチもご紹介したいと思います。

高設栽培とは            

高設栽培とは、本圃を腰高の位置で作り、栽培管理や収穫をしやすくした栽培方法です。高設栽培という言い方の他にはベンチ栽培など、様々な言い方がありますが、弊社では高床(こうしょう)ベンチという名前で販売しております。

benti_syuukaku 【弊社の高床ベンチ】

高設栽培の利点

高設栽培の利点としては以下のようなものがあります。
1. 腰の位置なので収穫がしやすい。
2. 栽培管理がしやすい。
3. いちご狩りがしやすい。
4. 栽培の過程でいちごに擦れて傷をつけてしまうことが少ない。
5. 花房が垂れ下がる品種でも地面につかない。
等が挙げられます。

高設栽培の欠点だと思われていること

逆に、欠点としては、以下のように言われることがあります。
・良いいちごができない(いちごが美味しくない)
・運営コストがかかる
・培地を2、3年毎に変えなければならず、交換の労力がかかる

上記の利点については疑いようがないのですが、欠点については本当なのでしょうか。
実は、ある意味では正しいのですが、ある意味では、全くの大間違いです!
一口に高設栽培と言っても様々な方式があるからです。

 


それでは、高設ベンチ栽培の方式や培地の違いによるメリットデメリットについて解説します。

  培地の違いによるメリットとデメリット

植物の生育にとって、培地はかなり重要なので細かく見ていきたいと思います。培地の違いで大まかに分けると以下のようになります。

a.  ピートモス、やしがら、杉皮(クリプトモス)などの植物由来の成分を多く含む培地
b.  ロックウール、軽石などの人工物を多く含む培地
c.  水(水耕栽培)
d.  培養土を多く含む培地

a.ピートモスなどの植物由来の成分が多い培地

メリット

1)培地コストが安い
安価で培地が手に入ります。
2)土で汚れない
泥汚れがないのでクリーンなイメージです。
3)軽いので架台の構造を節約できる
架台の構造を節約することで、建設コストを下げることができます。
※あまり脚が弱いと地震に弱くなるので注意してください

デメリット

1)肥培管理にコストがかかる
肥料分が蓄積しにくく、根の肥料吸収を助ける微生物なども生育しにくい環境なので、厳密な追肥(液肥)コントロールが必要です。
本来、土中に存在している微量要素も注入しなければならないので肥料コストがかかります。
2)技術的に収量を上げることが難しく、味が乗りにくい
土でないので、根が張りづらくなります。結果として、株が育ちにくく収量を上げたり高品質を保つのが難しいです。さらに追肥を大量に入れても肥料が流れ易く培地内に長期間留まりません。結果として、根が養分を吸収しづらく、味は乗りづらくなります。肥料吸収を助ける微生物も育ちにくいので根が肥料分を吸いにくいです。
3)培地の交換の手間とコストがかかる
長期間使っていると、下の方が腐ってきて堆肥化して来るので2,3年程で培地を入れ替える必要があります。培地交換には手間と労力がかかる上に、培地の継ぎ足しではなく全てまるごと交換しなければなりません。一回の培地の値段は安くても定期的に交換コストがかかり、結果的に培地コストはかかります。

※メリットとして、「土壌病害や連作障害が出にくい」などと言われることがありますが、それは間違いです。ヤシがらや杉皮などは、長期間肥料や水を通しているうちに発酵して腐り、堆肥になる前のどろどろの状態になってきます。その状態になると病害を引き起こす細菌の温床になってしまいます。
ピートモスやヤシがらを中心とした培地でも、シーズン後の消毒は必要です。

b. ロックウール、軽石などの人工培地を多く含む培地

メリット

1)培地の交換作業が容易
単一培地に近いため、取り扱いが楽に交換作業ができます。
2)軽いので架台の構造を節約できる
軽いので架台の構造を節約できます。(あまり脚が弱いと地震に弱くなるので注意してください)

デメリット

1)植物の生育に適した環境を作りにくい
単一培地に近いため肥料分が蓄積しにくく、良質な微生物が生育しにくい環境なので、植物が育ち易い環境を作りにくいです。
2)技術的に収量を上げることが難しく、味が乗りにくい
根が張りづらいので、技術的に収量を上げることが難しく、味が乗りにくいです。
3)追肥コストがかかる
厳密に追肥をコントロールする必要があり、コストがかかります。

c.  水を使った培地(水耕栽培)

メリット

1) 肥培管理がしやすい
土中に蓄積する肥料分の計算をする必要がないので与える肥料分の計算が容易です。
2) 病気の発生が少ない (と言われます)

水は流動的なものなので細菌が留まることが少ないので病気の発生が少ないと言われます。
しかし、循環式の場合は、病気が発生すると培養液を通して一気に感染が広がります。

デメリット

1)栽培管理が難しい
いちごにとっては生育がしにくい環境なので収量を上げるのが難しいです。
2)ランニングコストがかかる
肥培管理がしやすいというのは、土中と異なり、肥料が留まらないので、残留分の計算が不要ということなので、養液をかなり使用し、コストがかかる。
さらに、廃液が出るタイプであると処理にも別コストがかかることがある。
3)溶存酸素の供給が必要になる。
根が完全に水に浸かるタイプでは、根が呼吸できなくなるので溶存酸素の供給が必要になる。
4)味が乗りづらい
培地に肥料が留まりにくく、微生物が住みづらいため、根が肥料を吸いづらく、植物に栄養が行きにくい。
※いちごにとって、水のみの環境で収量を上げるのは難しく、現在では、水耕栽培は葉物が主になっており、いちごではあまり利用されていません。

d. 複合培養土

メリット

※培養土に関しては、培地の配合割合によって大きく変わってきます。
(以下は良質な複合培養土培地でのメリットです)
1)根付きやすい
水分や肥料分が留まるので根が肥料を吸収しやすく、発根しやすいです。
2)高収量、高品質が見込める
良質な微生物がいれば土を耕してくれたり、悪性の微生物が住みにくい環境を作ってくれたり、根が肥料を吸収する手助けをしてくれるなど、植物によって良い土壌環境ができます。結果として根が伸びやすく、肥料を吸収しやすいために収量は多く良質な作物ができます。
3)土耕に比べ土壌病害が減る
消毒済みの培養土を買う場合は初期の病害は避けられるので、通常の土耕に比べて土壌病害は少なくなります。
4)栽培管理がしやすい
細かい養液管理は必要なく、比較的育てやすいです。

デメリット

1)作付け前の土壌消毒や太陽熱消毒が必要
作付け前には、土壌消毒や太陽熱消毒を必ずしなければなりません。土中の悪性の細菌を殺菌することで病害リスクを減らして栽培をします。
2)培地が重いので丈夫な架台が必要
重量があるので、ベンチの脚はしっかりとしたものが必要になります。

3)培地の割合が的確で無い場合、土壌環境が悪化

※培養土の場合は複合培地の割合によって大きく変わってきます。
・水はけの悪い土では、根腐れに注意
水が溜まってくると根が酸欠になり根腐れがおきる。
・良質な微生物がいない場合は土壌環境が悪化
土を耕してくれる微生物が少ない場合、長い間使っているうちに土が固まり水はけが悪くなります。土壌環境を良くする微生物が少ないと、悪性の微生物が増えやすくなります。土壌環境が悪化すると他の培地と同様に、良質ないちごをとるのが難しくなります。

まとめ

植物の生育にとって最も大事なのは根です。したがって、根が張るための培地とそれを取り巻く環境は、かなり重要です!! 根がしっかりと張れて肥沃なところでなければ、良い作物を取ることは難しいです。
しかし、一般的に普及しているベンチ栽培では、ピートモス、ヤシガラといったものを培地として使います。
そのため、微生物は育たず根にとって良い環境も作れず、肥料分は下に流れていってしまい根は伸びることができない。といったマイナス要素ばかりが発生します。
いちご栽培では、培地としては、比重の軽いもの(水、ピートモス、ヤシがら、ロックウールなど)よりも比重の重いもの(培養土)の方がいちごの生育に適しており、収量や品質を上げやすくなります。

また、複合培養土であっても配合割合によって土質が変わるので注意が必要です。適度に水分を保ちつつ水はけの良い土が良く、さらに良質な微生物が常に土壌環境を整えてくれている状態が好ましいです。

 

 

いかがだったでしょうか。これから高設栽培を考えていらっしゃる方や、高設栽培に興味をお持ちの方へのご参考になれば幸いです。
高設栽培の導入をご検討されているお客様や高設栽培でお悩みのお客様へ 疑問点やご質問等がございましたらお気軽にコメントやお問い合わせをお願いいたします。

それでは、次回は弊社の高床ベンチをご紹介しながら、さらに具体的に高設栽培についてお話ししていきたいと思います。

 


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