高設栽培で高品質多収量を目指すには2

高設栽培で収量と品質を上げるために重要な事として、前回は培地の種類を中心にお話ししました。今回はそれらの情報のまとめと、管理面でのお話しをしたいと思います。
加えて、高品質多収にこだわった弊社の高設栽培用ベンチを紹介させていただきます。
※前回の記事「高設栽培で高品質多収量を目指すには1」を読まれていない方はまずはこちらからお読みください。

前回からお話しているように、形がよく、甘いいちごを、たくさん成らせるためには、根の張りが重要です。

良い実をたくさんつけるには、いちごの株がバランス良くたくさん肥料を吸えることが必要です。肥料の大部分は根から吸うので、当然、根の張りが重要です。そして、その根が張るためには培地が重要となります。

ポイント
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ですから、もし現在高設栽培でどうも思うようにいかないという方は、まずは培地を見直してみるのがいいと思います。

前回、根を張らせるためには、複合培養土が最も適した培地であるというお話をしました。特に培養土の中でも
1.水はけがよい
2.適度な養分と水分が保てる
3.良質な微生物がいる
といった複合培養土が良いです。

そして栽培槽の内部構造としては
水はけが良い構造が良いです。

また、根は一定以上の地温がなければ活発に動かないので、よっぽど温暖な所でない限り、培地加温が必要となります。

つまり、良質な複合培養土と装置で、以上の条件を満たすことで、根の張りが良くなり、結果として、高品質多収量を実現しやすくなります。

培養土ベンチでも味が乗らないとしたら

これまでお話ししてきた通り、高品質多収を目指すためには、培地に複合培養土を使うことが近道です。しかし、「培地に土を使っているけれど、やっぱり土耕には勝てない、いまひとつ良いものができない。」とお悩みの方もいらっしゃると思います。そのような時は、以下の原因が考えられます。

原因1 根がしっかり張れていない。

培養土であっても、良質な微生物がいなかったり団粒構造が悪いと植物はしっかりと根が張れません。また、地温がしっかりと取れていなくても根の動きは悪くなります。そうすると根が土中からバランス良く栄養を吸収できなくなり、品質や収量が落ちる原因になりますこれは、高設栽培に限ったことではなく、通常の土耕栽培でも同じです

原因2 追肥が足りていない

通常の土耕栽培の場合は根が活発に動いている場合、根が栄養を求めて地中を勝手に動いて探しにいくので、追肥の肥料分が足りていなくても根が自分で探し求めて吸ってくれます。なので、ある程度適当に管理をしても肥料欠乏にはなりにくいです。しかし、高設栽培は限られた場所での栽培なので、追肥は重要です。
前回、ピートモスやヤシ柄の培地では肥料分が留まりにくいと書きましたが、いくら培養土であっても、追肥が足りなければ肥料欠乏が起きます。どのような培地でも、たとえ土耕栽培でも、肥料欠乏を起こしてしまえば結果として収量や品質が落ちてしまうのは当然です。

しかし、逆に言うと、高設栽培は土耕栽培と違って限られた範囲での管理なので、根をしっかりと張らせられれば、肥培管理が容易にでき、無駄なく必要な分だけの肥料で管理ができます。結果的には、地中の栄養が完全には把握できない土耕栽培とは違って、高設栽培では肥培管理を厳密化できるので、収量や品質を突き詰めていった場合には高設栽培の方が管理がしやすくなります

肥培管理        

そこで今回は、前回お話しできなかった肥培管理についてお話します。

・肥培管理の基本

高設栽培は、畑に植えるのとは異なり、培地の量が限られているので乾きやすく、土耕に比べると灌水を頻繁にする必要があります。また、灌水をすればするほど肥料分は自然に下に流れて出ていってしまうので、定期的にしっかりと液肥を与えることも大切です。
そこで、高設栽培には土耕栽培とは異なる、専用の液肥もあります。
※土耕で使う通常の液肥と同じ液肥を使いたいとしても、栽培設備によっては使うことができないので注意が必要です。

・肥培管理の種類

液肥にも種類があり、1液方式と2液方式、3液方式などがあります。
昔からある方法は、2液方式、3液方式です。それぞれ別のタンクで攪拌した液肥を潅水時に混ぜて施肥する方法です。タンクをそれぞれ液ごとに分ける必要があるので、2つのタンクに分けて管理する方式を2液方式、3つのタンクに分ける場合を3液方式と言います。
タンクを分ける理由としては、1つのタンクに全てを入れてしまうと化学物質同士が反応を起こして固まってしまうのを防ぐためという理由が多いです。
3液目は通常PH調整剤となります。

1液方式は、1つのタンクに液肥を入れておく方式で、比較的新しい方式です。
1液方式は複雑な制御管理が要らないので非常に使いやすいです。

高橋式ベンチ栽培    

これまでお話ししてきた、「良質ないちごを休みなく作り、多収穫を実現」する、ということを徹底的に突き詰めて出来たのが弊社の高設栽培ベンチです。

ベンチパンフweb用

1.  培地にこだわっています

1) 微生物入りの複合培養土です
良質な微生物が培地を常に耕してくれるので、根が伸びやすく、肥料分を吸収しやすいので、良質ないちごが、株疲れすることが少なく安定して作れます。
微生物の力で、甘さだけでなく、いちごの味にコクが出ます。
土中に良質な微生物が多数いるので、病気の元になる悪性の微生物が増えにくくなります。その結果、病気の予防につながります。
2) 団粒構造がよく、PH、EC値をいちごの生育にあった値に調整してあります
根の張りが良くなるとともに、土が固まりにくいので長期間繰り返し使えます。
栽培操作は通常の土耕栽培の技術で、誰でも簡単にいちご栽培ができます。
3) 長期間繰り返し使えます
団粒構造がよく、微生物が常に培地を耕してくれるので固まりづらく、土を継ぎ足していくだけで長期間繰り返し使えます。お客様の間では「10年以上繰り返し使える」と評判です。通常の培地では2、3年で培地を全て出して交換する必要があります。当社培地は、培地が減ったら継ぎ足しだけで長期間繰り返し使えるので、コストも抑えて手間も削減できます。

4) 微生物を足せます
株疲れをしても微生物処理をすることで初期の状態に回復させることができます。
定植前の消毒をした後で微生物を足すことによって、良性の微生物が自然に増えてくるので直ぐに土壌を良好な微生物環境に戻すことができます。
5) 消毒済みです
消毒済みの培養土なので、初期の病害が避けられるので、通常の土耕栽培に比べて土壌病害を減らすことができます。

 

2.  構造にこだわっています

1)水はけが良い構造になっています
水はけが良いので根腐れが起こりにくくなります。根が活発に動き、植物が良く育ちます
2)ベンチサイドのまくらでヘタ折れを防止します
ヘタが折れるといちごの実に栄養がいかなくなってしまいます。実を大きくしたりたくさんならせたりしても、花梗が垂れ下がる品種でも、安心して栽培できます。
3)培地加温設備が充実しています
一定以上の地温が無いと根が伸びないので、培地加温は重要です。弊社のベンチでは、温湯配管と電熱線がお選びできます。小面積の場合は電熱線を使うことで燃料代を節約できます。

 

3.  栽培管理が簡単です

1)液肥は1液方式で簡単です
液肥作りが簡単で、液肥購入のコストも抑えられます。
2)肥培管理が簡単です
マニュアル化しているので管理が簡単です。
また、水耕栽培やヤシ殻培地などでは培地に肥料が蓄積されないため、厳密に濃度管理をしなければならず管理方法を習得するまでに時間がかかります。本設備では複合培養土が肥料分や水分をある程度蓄積してくれるので厳密な管理をしなくても良いものができ、初心者の方でも比較的簡単に肥培管理をすることができます。

3)培地加温設備が充実しています
一定以上の地温が無いと根が動かないので、培地加温は重要です。弊社設備では、温湯配管と電熱線がお選びいただけます。小面積の場合は電熱線を使うことで燃料代を節約できます。

 

いかがだったでしょうか。これから高設栽培を考えていらっしゃる方や、高設栽培に興味をお持ちの方へのご参考になれば幸いです。
高設栽培の導入をご検討されているお客様や高設栽培でお悩みのお客様へ
疑問点やご質問等がございましたらお気軽にコメントやお問い合わせをお願いいたします。

 


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